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中央区立常盤小学校
先生方の交流を取材しました
キソサポを活用して児童のやる気を引き出す(船橋市立葛飾小学校)
上記のページをご覧になった、東京都中央区立常盤小学校の先生方から「ぜひ授業を見学して直接お話を伺いたい」というご相談がありました。このたび2校の協力を得て交流が実現しましたので、今回はそのレポートをお届けします。
常盤小学校は平成26年度から中央区国際教育推進パイロット校、平成28年度から文部科学省教育課程特例校の指定を受け、英語で自分の思いを発信できる児童の育成に努めています。訪問先の葛飾小学校では児童のやる気を引き出す英語授業の工夫がなされているとのこと。一体どんな工夫があるのか、キソサポはどんな風に利用されているのか、まずは実際に葛飾小学校・和田先生の授業を見学しました。
以下の写真はその授業の様子です。(クリックすると拡大し、場面の説明についてもご覧頂けます)
そして放課後、両校の先生が集まって授業の振り返りや、キソサポをはじめとしたICT教材について話し合う交流会が行われました。(写真下、左より常盤小学校の山下先生・江島先生・堤先生、葛飾小学校の和田先生、常盤小学校の栗田先生・渡辺先生)
授業を振り返って
授業を見学させていただきまして、ありがとうございました。和田先生の授業はテンポが良く、子どもたちに隙を与えない感じで、ひたすら英語漬けにさせているなと思いました。「全編英語だから何を言っているか分からない」ということはなく、本当に楽しい45分間で、あんな風に授業をしたいなと思いました。
ありがとうございます。やることが終わったから何もしない、という「ヒマな児童」を作らないように「次はこれをやってね!」という風に隙を与えないということを心がけています。
子どもたちが楽しそうに授業を受けている姿が印象的で、6年生なのに歌もしっかりと歌える。英語で話すときに臆して発話ができない児童が出てくると思うのですが、児童自身が一生懸命に「自分が英語を話す」という雰囲気になっているところが素晴らしいなと思いました。これまで和田先生に鍛え上げられてきたところがあるのかなと感じました。
授業の最後に歌った”I Love the Mountains”(キソサポ『Song』より)は4年生のときに初めて見せたんですが、みんな大好きで歌詞を覚えて踊りながら歌っている子もいます。あの歌を歌うと、子どもたちが元気になるんですよ。本当に魔法の歌です。
英語で話すことについては、スモールトークの時間を2分間と決めていまして、「最初は日本語でも良いよ。英語で言えなかったら、途中から日本語でも良いから2分間、話し続けてみよう」という風に指導を始めました。そのうちに児童が少しずつ英語で話していくようになって…。子どもたちがどんどん成長しているなと私も感じているところです。
一人ひとりが活動したあとにペアになって、さらに書いたものを先生に提出して見てもらえる。最終的に先生の見取りがあるので、一人でダラダラやるのではなく、どの子もしっかり活動ができているなと感じました。児童が書いたものを端末で写真を撮って、ロイロノートで送るというのもシンプルですが大事な活動ですよね。
そうですね。英語を書くことが苦手な子もいますが、書く前に「ピリオドつけなさいよ!」と言うよりは、「いろいろな事件が発生しています…(ピリオドを書き忘れる)ピリオド事件!」みたいに面白おかしく伝えるようにしています。そうすると児童自身が「あ!そうだ、そうだ、ピリオド付けなくちゃ」と気がつきますよね。
全体に広めたいことは「事件」のように面白く伝えて、子どもたちが書く前に心がけられるようにしています。そして、書いたものを写真に撮って送ることで、子どもたちが活動に集中できているなと感じています。
キソサポを導入して変わったこと
キソサポを利用するようになって、単語の導入が大きく変わったと感じています。キソサポを利用するまでは単語のピクチャーカードを作って、黒板に貼り、ALTに読んでもらってみんなでリピートして…という感じで、一斉にやっていました。でもそれだと発音が分からなくて「言わなくてもいいや」という児童が出てきてしまいます。キソサポの絵カードの場合、児童自身の端末で分からない単語の発音を何回でも聞くことができるので、授業では個別に発音を確認する時間をしっかりと取るようにしています。今では文字を隠した状態で、国名を言える子もいます。
また、授業準備の手間がかからなくなりました。以前はカードを作って、活動するときに児童に配って…ということをしていましたが、今は端末で絵カードを見せながら活動ができます。プリントの準備も6クラスあるので大変でしたが、ロイロノートで一度準備したら、全クラスで使うことができます。児童が見やすい絵カードを作ることができるし、本当にありがたいです。
うちのクラスでは「スシタウン」が児童に人気で、URLを児童に送って家でも見られるようにしています。帯時間の「クイックタイム」でも1日1本見て、そのあとのクイズにも答えて…という風に、同じストーリーを追いかけていくと、「スシタウン」の最初のフレーズが自然に言えるようになってきました。いろんな所でマグロを見かけるだけで「Tuna!」とハイテンションになったり、図工の時間に「Tuna作ってきた!」と見せてくれたり…とても人気がありますね。
葛飾小でも、3•4年生は「スシタウン」を毎時間見るようにしています。5•6年生は「スシタウン」を見て育ってきているので、「最近スシ見てないな〜」とボソっと言われることもあります。お気に入りのエピソードもあるみたいです(笑)。
「There is 〜. / There are 〜.」を学習したときに、今までは絵本や写真を見て練習をしていたんですが、スシタウンの「教室」のマップを見ながら「何があるか?」から始めたら、児童の食いつきがすごく良かったです。マップの中に時間割やランチメニューが貼ってあるんですが、児童が細かいところを見て「これはチャーハンなのか、ラーメンなのか?」「じゃあ、チャーハンは英語で何というのかな?」と…そういうところから「There is 〜. / There are 〜.」をやりました。児童みんなが「スシタウン」の物語を見て、知っている共通のキャラクターなので、授業がすごく盛り上がりましたね。
あのマップ、良いですよね!「夏祭り」のマップにはアルファベットが散りばめられていて…児童の端末にマップを送って、自分たちで色々見つけたりしました。本当にみんな夢中になって活動しますね。それから授業の準備が早くできて少し時間があるときは、「The Alphabet」をよく見せますね。1本の動画が1分もないので、ちょうど良いんです。「チョコレート食べたいよね、じゃあ ”C”」みたいな感じで見せます。授業の始めに見せると、教室が「英語やるぞ」という雰囲気になります。
あと、子どもたちが大好きなのは、「Tell Us About You!」の中にある、Let’s play it backward!という逆再生の動画ですね。ときどき児童から「見たい!」とリクエストがあるので、夏休み前に「みんなに動画あげます。夏休み中、いつでも見てね」とURLを送ったりしました。
ICT教材についてはこんな要望も...
キソサポだと、高学年には海外の映像がいっぱい収録されている「Tell Us About You!」の動画がピッタリで好きなんですが、過去や未来がテーマのものがもっと増えてくれると、たくさんの中から選べるようになるのでうれしいです。
「Tell Us About You!」といえば、うちのクラスでは「Which do you like?」を扱ったときに「#42 どれが好きかを聞く」の動画を見て、クラスのお寿司ナンバーワンを決めました!結果はやはり「Tuna」が人気でした(笑)。こういうキャラクターのコンテンツは子どもたちも好きなので、とても集中して見てくれます。いろんな種類があると、どんな授業でも使えるようになるので、増えると良いなと思います。
あと、これはまだまだ先の話かもしれませんが、ICTの教材にAIを搭載していただいてAIと会話ができるようになるとすごく良いなと思います。
児童が言ったことを理解してくれて、さらに質問してくれて…という風になると、子どもたちも遠慮せずに英語を口にするようになれそうですし、おもしろそうですよね。
技術的な話でいうと、活動の中で子どもたちが作った英語の文章をまとめて発音してくれる機能があると良いなと思います。
もちろん先生やALTが児童のところへ行って発音を教えてあげるのがベストなのかもしれないですが、現状、待ちの時間が多く発生してしまっているので、こういうものがあれば気軽に一人ひとりが練習できるようになって、発話量も増えるのではないかと思います。
皆さん、英語の教育については日頃からとても熱心に取り組まれている先生方ですので、話は尽きず、様々な話題について交流が続きました。このたびは取材にご協力頂きありがとうございました。
今回の交流内容については、参加された両校の先生の記事が英語教育2025年1月号(12月13日発売)に掲載されています。
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